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Channel: シェフのフライロッドの世界
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島崎さんから教わったこと

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島崎さんは、バンブーロッドには2種類のアプローチがあると言います。ひとつがバネのようロッド、もうひとつが柔軟で鞭のようなロッドです。中村羽舟さんや北岡勝博さん、あるいは一部のビヤーネフリースさんなどのロッドは鞭のようなアクションを基本に考えています。

素材の特性から見ると、トンキン(マーロイ)竹はバネのようなロッドに向いています。
ではマダケはどうでしょう。肉薄にしてバネのようなロッドを目指す方向もあれば、羽舟さんや北岡さんのようにどちらかといえば鞭の方向性を目指すロッドも存在します。
バネか鞭、どちらが良いという優劣の話をしているのではありません。真竹だとトンキンがあまり得意としない鞭型のロッドに対する適応性が高いと言いたいのです。

鞭型のロッド、すなわち柔らかなロッドはラインスピードが出るのだろうか?あるいは大きなフライを運ぶだけのトルクがあるのだろうか?とよく聞かれます。

次のビデオは、かなり以前に放映されたアメリカの番組ですが、鞭の炸裂音はソニック・ブーム(鞭の動きが音速を突き破る衝撃音)を検証した番組です。ビデオを見ると、鞭はスピードとともにとてもトルクが強いことがわかります。これは目から鱗です。


さて、トンキンのような堅めのロッドだと、キャスティングはロッドティップのスピードを上げることに最大の関心事が払われることになります。そのため、ロッドの軸がぶれないように、あるいはロッドとラインの面が崩れないようにキャストしなければなりません。そういう意味ではリッツ型のキャスティングは、理に適っていることが理解できます。

しかし鞭型のロッドの場合、手元をきっちり返していくことがキャスティングの大きなポイントになってきます。
下図をご覧ください。ロッドそのものを鞭と考えると、手元A地点から発せられた力(波動)は断続的に加速して力を増し、最終的にC地点を最速で抜けていきます。これほどまでふにゃふにゃなロッドは実際にはないでしょうが、鞭型のロッドがパワーとスピードを生むのはイメージとしてこのような理解です。

イメージ 1


さて、以上が正しいとすると、鞭型のロッドを使用した場合のキャスティングは、バネ型のロッドのキャスティングのそれとは異なってくるのだと思います。

カーボンからバンブーに変えると、投げにくいと感じることが良くありますが、バネ型のバンブーから鞭型のバンブーに変えたときも同様のパラダイムシフトが投げ手に起きて投げにくく感じるわけです。

そうはいっても、何か結論めいた公理が導き出されるわけではありません。鞭型のロッドでも大きなフライや、思いフライをしっかり投げることができるということをお話したかったわけです。

そして島崎さんのキャスティングに見られるように、鞭型のロッドだからこそ水面すれすれの低い位置で高速のラインを伸ばすことが可能になるわけです。なお、フラットグリップはこの手首を通じて出てくる波動を素早く伝えるのに優れた構造をしているわけです。

マダケという日本発の素材の出現によって、あるいは日本のバンブーロッドの出現によって、鞭型バンブーロッドという新たな展開がFFの世界に広がり、フライフィッシングはますます面白くなっていくのではないでしょうか。



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