川嵜さんの渾身のロッドDharma754(達磨)Palaboric シリアル2015-01が届きました。7ft6 4pの4番(DT)5番(WF)ロッドです。
頂いた仕様書によれば
◎グッリプはハーフウェルでロッドエンドはハードラバー
◎リールシートはオリジナルアップロック
◎金具は「中島保美鋳金工芸美術研究所」製、ブロンズおはぐろ仕上げ
◎ラッピングは正絹生成クリアラップ
◎ガイドはスネークブランド
◎ストリッピングガイドは国産で赤のクリスタル
◎ロッドチューブはKINEYA製
肝心のブランクですが、これは国内のどこかにお願いしているようです。
今回ラッピングからリールシートまで川嵜さんにお任せしました。さすがです。高級感もさることながら、洗練された道具としての美しさに嬉しくなって、毎日愛でています。
さて、キャスティングのほうですがこれまた素晴らしい。とはいっても、ちょっとしたコツが必要です。パラボリックと名前がついているとおり、通常手にするプログレッシブなカーボンやグラスとは違います。もしかしてマッキーズのパラボリック803(あれは低弾性のカーボンロッドですが)を思い起こされるかもしれませんが、それと全然違います。このロッドは、4ピースのうち一番手元のバット部分と、ティップと2番目のピースの繋ぎ目辺りの動きのバランスが優れています。手元の部分にちょっとした溜めを感じられれば、後は容易にロッドコントロールが可能となります。大きなループも、シャープなループも思いのほかです。距離は当然出ます。またルアー投げ(ただ縦に振り下ろすような)もいけます。まだ試していませんが、当然アンダーハンド系のキャストも容易でしょう。早く振らないこと。竿に任せると竿が任せてくれるロッドです。
はっきりと申し上げましょう。ロッドを手にすると重いというのではなく、芯がある、という感触なのです。これはバンブーロッドの、しかもパラボリックで有名なポール・ヤングのパーフェクショニストやパラボリック15などを手にしたときに感じる感触なのです。あるいはレナードのトーナメントにも通じます。要するにバンブーロッドをグラス素材で作った、そんなロッドです。川嵜さんがブログ(http://alchemytackleflyrod.blogspot.jp/)にも書かれていましたが、織り込まれた(縦と横の繊維)グラス繊維ではなく、縦繊維だけをエポキシで固めたものなので竹の構造そのものだということです。
本来、グラスロッドはバンブーを代替していく形でロッドが作られていったのですが、その後は軽くてファストアクションにどんどん進んでいってしまいました。今回のようなロッドは、バンブーロッドに造詣が深くないと作れないロッドだと思います。
では70年代のグラスが面白くないかというと、これはこれで面白い。今回いろいろ投げ比べてみて思ったのですが、ロッドに弾力が感じられて面白い。柔いではなく、強い弾力です。ある意味、ロッド全体が曲がるので、投げ手のリズム感を選ばないという利点を持っています。詳しく言うと、どんなロッドにもスイートスポットがあるわけで、この手のロッドは自然に投げ手の力加減をそのスイートスポットに合うよう導いてくれます。フェンウックの#5指定のロッドは、機会があれば是非振ってみてください。
アメリカのフライフィッシングを見ていると結構大きなフライやニンフをバカバカ投げます。ルアーとも言えるようなつり方・・・まあルアーからフライに入る人も相当いますので・・にも十分対応できるようになっています。
ここで再びDharma754に戻りますが、このロッドはバンブーで言うところのソリッドロッド(もちろん作りは中空だと思いますが)に近い感触、フェンウィックなんかは中空(ホロー)に似た感触とでも言いましょうか。この新しいグラスロッドはキャスティング好きにはたまらない一本でしょう。