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Channel: シェフのフライロッドの世界
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ビルダーさんと一緒にFF Kada Rod その2

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良いビルダーは良きキャスターであり、良き釣り人でなければなりません。

ロッドビルディングには理論的な背景がいろいろあっても、最後は人間の五感に頼る部分が

多いものです。

そしてこの五感は明らかに自らのFFの経験に基づきます。

そういう意味では実践的なFFをどれだけ経験しているのかが、ロッドのパフォーマンスに

大きく影響してきます。



今回の釣りはKさんの製作したロッドのうち#3向けに修正されたギャリソンのテーパー(193と201)

に基づく2本を試す場でもありました。(実は201は昨年Kさんから譲っていただいたロッドです)

Kさんのキャストを見ていると、タイトできれいなループがフィードレーンの先にきれいに

決まっていきます。

無駄がない、力が入らない、そして最後のターンまで神経の行き届いたリリース。

フライがターンしないロッドはだめです。

風が吹いても、障害物があっても、かならず一定の距離を保ってぴっちり投げ込みます。

なるほど、このキャストにしてこのロッドあり、このロッドにしてこのキャストあり。

どういう意図を持ってロッドを製作されているのかが良く伝わってきます。

ビルダーさんの素養に関して、いっしょに釣りをすることで、さらに理解が深まりました。



修正193にはテレンツィオのシルクの#3、修正201にはCortlandのSilkyline#3を乗せています。

193とテレンツィオのコンビネーションは完璧でした。

一振りした瞬間に、キャッチャーに向かって球を投げるような、

ポイントに集中して投げ込めるという自信が伝わってくるロッドです。

201はオールマイティーにキャストを楽しめる私の大好きなアクションです。

つまり、投げ手の癖を素直に表現してくれるロッドで、投げ手に投げ方を強制しないロッドです。

SilkylineはPVながら、シルクのような細さと質感を持たせたバンブーロッドにマッチするラインです。

ただ本物のシルクよりは比重が軽く、風には負けてしまうところがありました。

穏やかな日にはパフォーマンスの優れたラインだと思います。




前後のキャストを繰り返し、シュートする決断のできない釣り人は、やたら素振りばかりして、

あるいはアドレスが長すぎて、なかなか球を打たないゴルフプレーヤーの如く、

ミスショットが多いものです。

いやいやそうではなくて、キャスティングの場合、前後に飛ぶラインの感触がこの上もなく

心地よいのです。




余談になりますが、フライフィッシングの場合、ちょっとしたミスショットならすぐに

打ち直しが利きますが、上方や後方の木の枝にひっかけたり、最悪ポイントのそばの障害物に

フライを掛けてしまうと、これはゴルフで言うところのOBとなります。

フライを無くして付け替える場合には、ゴルフで言うところの暫定球をその場で打ち直すことと

同じになります。

あるいはOBの結果釣り場が荒れてしまったら、前進4打ということで次のポイントへ移動します。

ポイントを狙って距離、方向、風等を頭に入れてキャストするところなど、

ゴルフはフライフィッシングに通じるものがあると思います。

考えて見ると発祥は両方とも英国ですね。



Kada rod、双方ともキャスティング能力に優れたロッドでした。

テーパーがいくら世に公表されていようと、実践的な道具としてフライロッドを纏め上げるには、

作り手にはそれなりのセンスが必要だと思います。

私にはとても無理です。

バンブーロッドは誰でもできる・・・バランスの良いロッドを作るという意味で・・・

ものではありません。

外見的な美しさという意味では、まだまだ進歩の余地はありますが、

それは今後の課題で、あまり心配する話ではありません。

機能的に優れたロッドは、試合にかならず出場する信頼のおける選手と同じで、

外見以上に可愛くなるものです。

Kさんは製作したロッドを何本も友人に渡しています。

マイク・クラークなり、チャリー・ジェンキンズもアマチュアビルダーから

トップビルダーになる過程は皆同じでした。

Kada Rodの将来が楽しみです。

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