KadaRodの進化が著しい。
私が製作をお願いしていた6.3ftの#3。写真の手前は昔のプロトタイプで、後ろが今回の作品です。
すでに独自の世界を作り上げるに至ったといえます。ロッドの外見的な仕様がはっきりした点もありますが、Kada氏の設計する釣り人を選ばない一種天才的なテーパーと、それを裏打ちする正確な削りです。
ターンなきロッドはロッドにあらず。
天才的というのは、誰が投げてもきれいにフライをターンさせて目標地点に運んでくれるところです。
6.3ftの#3、7ftの#3、7.2ftの#2など実釣から生まれた機能性溢れるロッド群は全て
しっかりとしたターンオーバー力を持っています。
KadaRodの素材は全てトンキンケインでジョイントは金属フェルールを使用しています。
氏はいろいろな釣りをなされますが、山岳渓流でのアップストリームの釣りは、ご本人が特にお好きなこともあって素晴らしく、2振り(3振りは許してもらえません)でフィーディングレーンの数十センチ上にフライを着水させ、レーン上をきっちりナチュラルドリフトさせます。これではヤマメもイワナもたまったものではありません。
ビルダーさんのロッドの良し悪しは、そのビルダーさんのフライフィッシングの在り方そのものに依存します。釣りのとりわけ上手な方は、それだけで良いロッドを作る素養が高いといえます。
6.3ftといえば、ショートロッドの巨人と称されるポール・ヤングのミッジがすぐ頭に思い浮かびます。それに近いサマーズやランカスターが製作したミッジと比較してみます。使用目的が違うので、単純にどちらがどうとはいえませんが、KadaRodは手元での曲がりが他の2本ほどきつくありませんのですパラボリックとは違います。セミパラ、どちらかと言えばきれいな逆C字、ECパウエルのBテーパーに近い感じを受けます。フライをスポットに最後投げ込むときのターンはグラファイトにも負けないパワーが感じられます。グリップの整形も、手にしっくり来る短いシガーです。このモデルは何本も作られているので、定番になっているといえます。