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Channel: シェフのフライロッドの世界
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マシュマロフロッグ (魔手麿蛙)

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古池や蛙飛びこむ水の音 これは静寂さを詠った俳句ですが、考えてみると蛙は水に入ると音を立てて泳がない、という事も示唆しています。当然です。自らの存在を捕食者に知らしめてしまうからです。嶋崎さんのマシュマロシリーズの最新作、マシュマロフロッグを眺めていて、その設計思想を考えてみました。そうだ、白いお皿に水を張って浮かべてみよう。
ガラスの器の底から撮影するより、浅いお皿の底に映るシルエットのほうがわかり易いだろう。案の定、そこには水面下に潜む捕食者を狂喜させる姿が映し出されています。それは蛙のオーラというよりは、恐ろしい悪魔の姿。私には見えるのです。可愛い顔をしたマシュマロフロッグの実体が無慈悲なハンターであることを。水面下に住む住人の一体誰が、この愛くるしい生き物の背中に上顎を貫く鋭い針を背負っているなどと思うでしょうか。
 
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ゲーリー・ラフォーンテーヌは彼の代表的な著書「カディスフライ」において、水の表面を柔らかく押すカディスフライの曖昧な、しかしそれで充分すぎるほど餌としての情報をもたらすシルエットに、魚は動かされるとしました。マシュマロフロッグも水面を柔らかく押し下げます。そして柔らかく押された水面が水に入ってくる光の屈折を変えることで、餌としての存在を知らしめて水面下にいる捕食者達のスイッチをオンするのです。
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フライの雑誌98号の特集シマザキワールド13ではマシュマロボディーの解説に、流れやリトリーブによってフライの受ける水の作用が止まった時に、フライの後ろがだらしなく垂れ下がるとスレた魚には見切られると書かれています。この蛙は足を広げたシルエットをしっかりと保持します。その意味でも恐ろしい悪魔なのです。本当に魔手麿です。
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