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Channel: シェフのフライロッドの世界
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如意竿 1

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羽舟さんのロッドが届きました。8ft4番、やや重めの3番でもOKです。ブランクに書かれているロッド名は「如意竿」、孫悟空の「如意棒」に由来します。ロッドが伸び縮みすることはないのですが、ラインは親指と人差し指の間にあるグリップを本の軽く前に押してやるとするるるるっと真直ぐ伸びていきます。
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羽舟さんはいろいろな竹からロッドを作ります。トンキン、チンバンブー、マダケ(若竹)淡竹、布袋竹、女竹、矢竹、唐竹の8種類です。このロッドは矢竹です。羽舟さんは矢竹のなかでも、太くて珍しい「おばけ」と呼ばれる素材を使って製作をしてくれるといいました。埼玉県にあるLEON(レオン)の三浦さんによれば、「おばけ」と呼ばれる矢竹は矢竹とは少し違っているようですが埼玉など本当に一部でしか見られない竹で、昔は鮎竿の中間部分には欠かせない素材だったようです。詳しくは下記をご覧ください。

http://homepage2.nifty.com/leon/bigyatakestory.html

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この「Vスリットグリップ」は島崎憲司郎さんのアイディアを具現化したものの一つです。羽舟さんのところではV字形の溝をコルクに正確に切り込むための専用の治具を誂えています。コルクブロックが独立しているポール・ヤングのスケルトングリップとは異なり、グリップ全体に「材質的な縁が繋がってい」ることが特徴となっています。


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ラインは目と手の感触で状況を把握しますが、目での部分は変わりようがありませんが手に伝わる情報はこのグリップ形状で大きく異なってきます。Vスリットグリップは空中に飛んでいるラインの状況が非常によく手に伝わるため、力の入れ加減の判断に誤差が生じにくくなります。すなわちラインコントロールがとても良い、ということです。
 
さて、羽舟さんのロッドといえば、柔いと思われる方も多いかもしれません。ですから距離が出ず、至近距離のロッドと思われる方が多ようですが、全くお門違いです。このブログでも取り上げましたが、鞭の先端のスピードは音速を超えます。その意味においては、硬いバンブーロッドより柔らかいバンブーロッドのテイップの方が早く可能性が高いのです。是非「島崎さんから教わったこと」をご参照ください。
 
ゴルフクラブのドライバーを思い起こしてください。ハードヒッターはStiffという固いシャフトでヘッドスピードを上げますが、それはそもそもスイングスピードを速く出来る身体能力があるからです。年齢とともにそれが難しくなると、ゆっくりしたスイングでも溜めを作って、球に当たる瞬間のヘッドの返りを早くさせるためにRegularという柔らかいシャフトが好まれるようになります。
 
フライロッドの場合は、身体能力でロッドの素材を選ぶというよりは、テーストで選びます。なのでかならずしも年齢とロッドの柔らかさは関係ありませんが、要するにそういうことです。
 
したがって、この羽舟ロッドはとてもとても距離が出ます。もちろん距離の短い手前もきれいにターンします。このロッドの凄さは島崎さんのキャスティングでもご覧いただけます。下記をご参照ください。

http://blogs.yahoo.co.jp/captainbamboo/35072144.html

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投げ心地は今までに全く経験したことのない感覚。ソリッドなトンキンでもマダケでもありません。あるいはホローのトンキンやマダケでもありません。確かに手に伝わる感触は優しい竹です。でも投げるほどに芯のしっかりとした強さと躍動感が出ます。しかしロッドは掌に吸い付いているのです。ぴたっと。さすがです、鮎竿の2番、3番、4番節を支える素材です。

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今回本当にお宝を授かりました。
羽舟さん83歳の「如意モデル」です。
この落ち着き、エレガントさ、そして動き出したときの躍動感と力強さ。
人生の楽しみはこれからだぞ!
グラファイトでもグラスでも伝えられない暗黙知がまさに
このバンブーロッドに宿っています。

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