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Channel: シェフのフライロッドの世界
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実物で辿るフライラインの歴史 その7

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60年近く前のエナメル・コーティングされたラインを、当時のバンブーロッドで試してみる。

選んだロッドはHeddon社のOMEでFolsomの7ftハーフ、#4-5向け。

Folsom Arms Co.はニューヨークの銃製造メーカーで、銃と言えば有名なWinchester社が

Eutis Edwardsのロッドを販売していたのと同様に、Folsomは廉価版ではMontagueやSouth Bend社

のロッド、高級ラインはHeddon社のロッドを販売していました。

この写真のロッドは2pなのでHeddonのオリジナルではフェザーウェイトに近いものと思われますが、

文献では見当たりません。

1930年代のないし1940年代のものと見られます。

ファストテーパーではないのですが、弓のようにしなりながらも、当時としては珍しい

パリパリのロッドです。



ところで、1930年代は西海岸を中心として、遠投を競う競技用キャスティングが盛んな時代の

始まりでした。

ザ・ゴールデンゲイト・アングリング・アンド・キャスティング・クラブが創設されたのも1933年です。

ドライフライの興隆によってフライラインが発展したばかりでなく、遠投競技もフライラインを進化

させたことは間違いありません。



さて、シェークスピアのエナメル・シルクラインはどうなったのか?

セージやルーミスやボロンで見られるいわゆるカチカチ系のラインスピードのように洗練された

爽快感ではないですが、一振り目でほぼトップスピードです。

このロッドから放たれるシルクラインは、バッティングマシーンの、あのアームのような、

まさにロッドの背面にバネが据え付けられているとしか言いようのない頑強なマシーンから

放たれる球と同じです。

ストレート150キロ。

実際はそんなに早くないとしても、自分がダルビッシュになったような錯覚にとらわれます。

そうなんです、タイトループは、何もハイテクノロジーだけに許されたものではないことを

実感します。

バンブーとエナメル・シルクラインでSageとサイエンティフィック・アングラーズ以上の

パフォーマンスを期待できるのです。

大昔から強風下でも大きなフライを遠く離れた対岸に充分飛ばすことができていたのです。

騙されてはいけません。

そう、実は逆なのです。

まさにこのシルクラインでの経験が、アメリカのその後のロッドの発展を可能ならしめたのです。

この感触があったからこそ、フェンウィックも、シェークスピアも、セイント・クロイも、

ダイヤモンド・バックもセージもウィンストンもルーミスも素晴らしいグラスロッドや

カーボンロッドの製造ができたのだと思います。

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